あなたには専門と呼べるものがいくつありますか?
経歴についてではなく、自分のなかで理解度に自信のあるものはどれぐらいありますか?
「スペシャリストこそこれからの時代に必要」のように、ひとつのことをトコトン突き詰めることが美徳とされる風潮は存在しますが、それを鵜呑みにしてはいけません。
ひとつのことばかりやるというのは、その分野においては効果を発揮する一方で、多用な見方ができなくなるというデメリットも存在します。
これの何が悪いのかというと、発想力の成長を妨げるのです。
おもしろい発想や革新的なアイデアというのは大抵、離れた分野の知識や技術が合わさってできるもの。
ものごとを複数の側面からとらえることによって見えてくるものもあり、「専門」が多いほど解決の道具は多くなります。
もし今やっていることに慣れてきて、生活に余裕があるのであれば、やっている分野とちがう方面を勉強してみるのをおすすめします。
それによって新たなものが見えてくるはずです。
なぜ複数の専門があった方がいいのか
スペシャリストの必要性が叫ばれる今でも、複数のことをできるメリットはあります。
前述した発想力についてもそうですし、組み合わせでやっていけるというのもそうです。
むずかしい問題の解決、新しいものの開発には発想力が欠かせません。
ある学問では解くのがむずかしい問題でも、別の学問を用いれば簡単に解決できるというのがしばしばあります。
そして、そのような解決の仕方をするためには複数の分野についてある程度の理解がなければできません。
時間のあるときに勉強して専門を増やすというのは、ものの見方を増やして解決しやすくする効果があるのです。
また、組み合わせることの威力についても無視することはできません。
ひとつの分野が高度なレベルでできるひとはゴロゴロいる一方で、複数の分野が一定以上でできるひとというのは意外とめずらしいです。
既存のものを組み合わせるというのは結構効果的なやり方なのですが、それには複数の分野ができることが条件。
専門を増やし、その組み合わせで勝負するというのもいいやり方です。
たとえば、理工系のひとが経済やマーケティング、政治のことを覚えたらどうでしょうか。あるいは医療や生物学的な知識をつけたらどうでしょうか。自分のやっていることがどのようなことなのか、どのぐらいの価値があるのかということに気づけますよね。
マーケティングや経済と合わさればニッチを見つけて新しい物が作れますし、医療や生物の知識と組み合わされば画期的な診断・治療方法の開発に携われます。
たとえ技術者であっても物理や数学ばかりやっていては、やれることに限界がくるでしょう。
現実的な視点と合わさることで見えてくるものがありますし、ニーズの理解という形で「本業」にいい影響をもたらすのです。
偏った見方を防ぎましょう
専門領域がひとつしかないことのデメリットは大きいです。
つぶしがきかないというのはありますし、何よりも偏った見方しかできなくなるというのがあります。
特に偏った見方しかできないことの弊害は大きく、極端な意見しか出せないということにもつながりかねません。
技術方面ができる一方で倫理観に欠けるというのは危険なものがありますし、視点が少ないので本質に気づきづらいです。
プログラミングをするにしても単にプログラミングのことだけ勉強すればいいというのではなく、プログラムを組んだ先にあるものまで知っておく必要があります。
そういうのを知っているか知っていないかでパフォーマンスに差がでるのは当然のこと。本質的な部分にまで注意がいかないのでは、プログラミングもうまくはいきません。
ものごとをあらゆる面から考えることで、見えるものも増えていきます。
本質を見抜く能力があれば動きにムダがなくなり、早期解決もしやすくなる。
専門を増やすことによって視点を増やすというのは、意外と欠かせないことなのです。
選択と集中
ここまで専門を複数持つことを強調してきたわけですが、注意すべき点もあります。
それは手を出しすぎて、理解が浅いままで終わってしまうということ。
情報の粒度を意識して取り組まないと、せっかく費やしたリソースもムダになってしまいます。
専門を増やすといっても、選択と集中というのは意識しなければなりません。
専門がひとつしかなくて凝り固まった考え方しかできないというのではチャンスを逃してしまいますし、かといって100個ぐらいのことを同時に勉強すればひとつひとつの密度は小さくなりがちです。
そして、これはまさにリスクテイク。どこにどれだけのリソースを割くかということになります。
範囲を広げすぎて雑学マニアになってしまっては元も子もありませんし、ひとつの分野しかできないというのでは発想力に欠けます。
自分に考えられる範囲でいいので、どのように分散するかについては常に考えるようにしましょう。
まとめ
わたしたちは経歴や肩書、所属といったものにこだわってしまいがちです。
しかしそこから抜けださなければ、おもしろい発想や画期的なアイデアは生まれてきません。
本業以外の部分も一定のレベルまで勉強することにより、本業でやっているものが生きてくるのです。
継続に継続を重ね、専門が増えてきたときには、